第20章/意思決定

20.1 リスクの絡む意思決定

  1. 将来の見通しが確率的に分かっている場合
    ・・・ リスクのもとでの意思決定
  2. 将来の見通しが確率的に分からない場合や競争相手のいる場合
    ・・・ 不確実性のもとでの意思決定
  3. 例外的な特殊事情のある場合
    ・・・ 特殊事情のもとでの意思決定

20.2 弁当屋さんは何処をターゲットにすべきか

過去の実績からある時期の日曜日の弁当の売れ具合(純利益)が下記のように大略 分かっているとする。

晴れの場合雨模様の場合
東京80万円10万円
横浜70万円30万円
埼玉40万円40万円

前の日に、晴れの確率が40%、雨模様の確率が60%と分かった場合、どの地域 に向けた弁当作りをすれば利益を最大に出来るか?

期待値を比較すると下記のようになる。

東京: 80 × 0.4+10 × 0.6=38万円
横浜: 70 × 0.4+30 × 0.6=46万円
埼玉: 40 × 0.4+40 × 0.6=40万円
従って期待値の一番大きい横浜向けに弁当作りをすることになる。

20.3 ディシジョン・トゥリー

図20.1 は、受注できれば“売り上げ1000万円の仕事”の意思決定に関するディ シジョントゥリーである。①先ず受注工作するか、②調査するか、③諦めるか の選択 肢があり、この中から期待値が最大となる選択肢を見つける。

受注できれば利益1000万円の意思決定!(ディシジョン・トゥリー) ●先ず受注工作するか、●調査するか、●諦めるか!!

図20.1 ディシジョン・ツゥリー(受注できれば1000万円の意思決定)

それぞれの選択肢の期待値を計算すると下記のようになる。

  1. ● 先ず受注工作する場合:

    700 × 0.5-300 × 0.5=200万円

  2. ● 調査をする場合:
    1. ① 見込みが大で受注工作する場合:

      650 × 0.9-350 × 0.1=550万円

      ∴ 550 × 0.5-50 × 0.5=250万円
    2. ② 見込みが小で受注工作する場合:

      650 × 0.1-350 × 0.9=-250万円

      一方②で諦める場合はー50万円  ∴①>②
  3. ● 受注を諦める場合: 0万円

20.4 不確実性のもとでの意思決定(再び弁当屋さんの例)

晴れの場合雨模様の場合
東京80万円10万円
横浜70万円30万円
埼玉40万円40万円
  1. 悲観論よりは穏当なミニマックスを採る方法:

    結果: ミニマムである雨模様の場合の10万円、30万円、40万円のうち Max. である40万円を採用。

  2. 楽観計数(0~1)を導入して結果の max. を採る方法:

    結果: ex. 晴れに 0.3 を選択(従って雨模様は 1-0.3=0.7)して加算結果の max. を採用すると横浜の 42 万円を採用することになる。

  3. 可能性が全く分からない場合は、五分五分で計算して max. を採ると、この場合は 横浜の 50 万円を採用することになる。

20.5 人間は期待値だけでは意思決定しない例

  1. ●現金100万円と、当たる確率50%の200万円くじ(券)のどちらを選択する か?
    ・・・ 期待値はいずれも100万円

    多分現生に手を出すはず
  2. ●では当たる確率70%の“くじ”ではどちらを選ぶ?
  3. ●90%では?
  4. ★ちょっと変えて、現金10万円と200万円くじでは、確率がどのくらいまでなら “くじ”を選ぶであろうか?
例えば当たりくじの例
くじ当たる確率(%)賞金額(万円)
A90100
B70300
C40600
D101000
  1. ●期待値のスタンスなら“C”を選択
  2. ●小額でも現金が欲しいスタンスなら“A”を選択
  3. ●最低でも800万円という要求水準があるなら“D”を選択
  4. ●一発勝負なら ・・・・
  5. ★このように考え方、スタンスによって選択肢はさまざまである。同業と言えども経営戦略が異なる所以である。

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